今回はピアノのバッキングについて考えてみましょう。
ソロピアノ曲でない場合は、ピアノはイントロや間奏をのぞくとバッキングにまわることがほとんだと思います。
サックスやギターのインスト曲や歌ものなど、メロディーを他の楽器が演奏する場合はそれを邪魔しないように的確なバッキングをすることが重要。
「バッキングはこうすればよい」などという決まったものはなく、その曲やアレンジによって弾き方は大きく変わってきます。
しかしピアノのバッキングとして代表的なものはいくつかあるので、それを見ていきたいと思います。
それを応用していくだけでかなりのバリエーションを得られると思いますよ!
今回は【4分打ち・8分打ち】を紹介します。
こちらもおすすめ↓(コードに変化をつけて作曲していく過程を解説)
スローからミディアムテンポにおすすめ【4分打ちのバッキング】
違いをわかりやすくするために同じメロディー、同じコードにいろんなバッキングをつけてみましょう。
メロディーはこちら
今回はこんなメロディーでやっていきたいと思います。
(4分打ち)ピアノのみ
まずは4分打ちからです。
これは文字通り「4分音符でコードを弾く奏法」です。
これはスローからミディアムテンポぐらいの曲によく合います。
右手は【コードを転回させてなめらかにつなぎながら4分音符だけ】を弾いています。
左手は【ルートを2分音符で弾いているだけ】ですが右手がずっとリズムを刻んでいるのでこれで十分です。
メロディーを邪魔することもなくとてもシンプルで聞きやすい素直な印象ですね。
音域もだいたいこのぐらいの高さが聞きやすいでしょう。
特別な意図がない場合は「真ん中のドの少し下ぐらいから上1オクターブぐらいの間」におさめるのが一般的です。
高すぎるとメロディーを邪魔してしまうでしょうし、低すぎると和音が濁って聞きにくかったりしますのでよく聞いて判断しましょう。
(4分打ち)ピアノ+ドラム+ベース
では先程のピアノにドラムとベースを加えてみます。
ドラムとベースが入っても先程の譜面のままで大丈夫ですね。
今回の4分打ちに関してはこのベースとドラムを入れて考えていきます。
(4分打ち)転回して動かす
上記では単純すぎておもしろくないなと思う人もいるかもしれませんね。
ではちょっとコードの転回のしかたを変えて動きをつけてみましょう。
どうでしょうか。これで少し変化がつきましたね。
この例では大げさに動かしましたが、こんなに動かす必要はありません。
「何小節かに1回動かして」おけば単調な感じには聞こえないと思います。
また、コードは必ずしも全ての構成音を弾く必要はありません。
この例でも【4声になったり3声になったり】していますがおかしくは聞こえないと思います。
ところどころ音を省いて弾くのは何の問題もないです。
左手も時々4分音符を弾いたりもしていますが、たまたまアドリブでそうなっただけです。
この程度なら特にベースを邪魔しているわけでもないので全然かまいません。
クラシックと違ってポップスやロックはかなり自由度が高いのです。
(4分打ち)8分音符を入れてみる
さて次にちょっと8分音符を入れてみましょう。
と言ってもあくまでも4分打ちがメインですから、それをくずさない程度にところどころに少しだけ入れてみます。
ところどころ8分音符が入っていますが、【全体的に見ると4分打ち】と言えるバッキングになっています。
8分音符になっているところは「コードトーンをばらして」弾いているだけです。
1小節目の「Am7」のところは「ドミソラ」という構成音を「ミソラ」と「ド」に分けて8分音符にしました。
2小節目・4小節目の「G7」では「3拍目は4声の構成音を全部弾いています」が、「4拍目は3声にして8分音符に分割」しました。
この例も4声の構成音を全て弾いてないところがあちこちにありますが、コード感はしっかり出ているので大丈夫です。
(4分打ち)フィルインを入れる
次はもう一歩進んでフィルインを入れてみましょう。
先程のものよりもちょっとおしゃれな感じに聞こえますね。
けっこう右手がいろいろ動いているようですが、これもコードトーンしか弾いていません。
2小節目の「G7」、3小節目の「Am」、4小節目の「F△7」「G7」は8分音符で高めの音域を使っています。
6小節目は16音符を使いましたがこれも「C△9」の構成音を「9-7-3」とばらして弾いているだけです。
コードさえわかっていれば簡単にできるので、ただの4分打ちに変化をつけたいときにはいいと思います。
ミディアムからファストテンポにおすすめ【8分打ちのバッキング】
それでは次に8分打ちをやってみたいと思います。
4分打ちとは違ってミディアムからファストといった少し早めのテンポのほうがより合うでしょう。
(8分打ち)シンプル
まずはシンプルな8分打ちです。
こんな感じです。
右手のコードは「転回してトップノートがなめらかにつながるように」弾きましょう。
左手は「ベースに合わせて同じリズム」で弾いています。オクターブでもいいですしこのように単音でもじゅうぶんです。
(8分打ち)高い音域
8分打ちの場合、かなり高い音域で弾くこともよくあります。
こんな感じのサウンドよく聞きますよね。
軽い感じにしたかったので構成音の中から3つだけを弾いてみました。
コードネームで考えると抜けてる音がありますが、おかしくは聞こえないと思います。
もしどうしても足りないと思えば左手で弾くのもありですね。
もちろん4声にしても全然かまいません。
どのように聞かせたいのかを考えて弾き方を変えていきましょう。
高域はロックンロールでも使う
ロックンロールなどもこのように高い音域で8分打ちをすることが多くあります。
このような感じです。
右手はブルーノートの解説でも触れたように、「コードにブルーノートを引っかけて」弾いています。
左手は「ベースが8分音符で弾いているフレーズを4分音符にして」弾いていますが、これは特に弾かなくても大丈夫だと思います。
(8分打ち)転回させる
次は4分打ちでもやったようにコードの転回のしかたを変えながら弾いてみます。
これもところどころコードトーンを省いてありますが、コード感は失われてないので大丈夫です。
このようにトップノート(コードの1番上の音)をどう動かすかを考えて作っていけばいいと思います。
(8分打ち)フィルインを入れる
次に少しフィルインを入れてみましょう。
ところどころ「16分音符でフィルイン」を入れてみました。この音もすべてコードの構成音です。
例ということで大げさに入れてありますが、こんなに入れる必要はないです。
2小節目の「G7」のところでは「16分音符でアルペジオ」を入れてみました。
4分打ちに比べ8分打ちはあまりFillを入れないことのほうが多いです。
しかしこのように時々16分音符を入れて変化をつけるのも面白いと思います。
(8分打ち)シンコペーション
ところでメロディーをもう一度見てください。
ところどころ8分音符や16分音符ででシンコペーションしているところがありますね。
1小節目や2小節目は、16分音符で3拍目にかけてシンコペーションしています。
3小節目や4小節目は、8分音符でシンコペーションしています。
これにバッキングを合わせるということがよくあります。
このテンポだと16音符でシンコペーションするのはちょっと忙しく感じるかもしれないので、
今回は「8分音符でメロディーがシンコペーションしているところ」をリズムも一緒にシンコペーションしてみましょう。
3小節目4小節目6小節目の3拍目にいくところをシンコペーションさせてみました。
ピアノ、ドラム、ベースが一緒に動いています。
こうすることによりメロディーのリズムが際立ちますね。
まとめ
さて、今回はピアノのバッキングのうちよく使われる【4分打ちと8分打ち】を紹介してみました。
このような弾き方ができれば単純な伴奏に変化をつけられますし、コード譜を見ながらさまざまなバッキングができるようになると思います。
コードネームを覚えていることが前提で解説しましたが、バッキングの練習をしながらコードを覚えていくのも1つの方法です。
さまざまな曲で練習してぜひ身につけてみてください。
次回はアルペジオによるバッキングを紹介してみたいと思います。
以下の動画では今回の解説をまとめてあります。
ぜひチェックしてみてください↓