今回はバッキングの中でもよく使われるアルペジオを紹介します。
アルペジオというのはコードの構成音を一音ずつバラバラに弾いていく奏法です。
ギターなどにも頻繁に使われます。
スローからミディアムぐらいのテンポに使うことが多く、速いテンポの曲にはあまり使われません。
アルペジオには数多くのパターンがありとても全ては紹介しきれるものではないので、代表的なものをいくつか見ていきましょう。
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今回使うメロディーはこれ
今回のサンプルのメロディーはこれでいってみます。
キーはAmのバラードにしてみました。
コードも3小節目の「G7」以外は3声でシンプルにしてあります。
ではこのメロディーにアルペジオのバッキングをつけてみます。
さまざまなパターンごとに譜面と音を用意しましたので、参考にしてみてください。
8分音符を使うパターン
まずは8分音符だけを使うパターンをいくつか紹介します。
8分音符パターン1
1つ目はこちら。
コードを転回させて音域があまり高くなったり低くなったりしないようにしています。
左手はルートを単音で弾いているだけです。
もちろんオクターブにしたり5度の音を加えたりするのもいいですよ。
それではこれにメロディー・ベース・ドラムを加えたものを聴いてみましょう。
シンプルでメロディーを邪魔しないアルペジオですね。
しかし「1、2拍目と3、4拍目が同じ音型」なので少し単調に聞こえてしまうかもしれません。
8分音符パターン2
ではこんなのはどうでしょう。
これは「1、2拍目と3、4拍目が違う音型」になっています。
左手はさきほどと同じで、ルートを単音で弾いています。
これにメロディー・ベース・ドラムを入れたものがこちらです。
これもよく聴くパターンです。
フォークギターなどでもよく使われています。
「1小節目のAm」と「6小節目のAm」は、その前の小節からの流れで違う転回形になっています。
8分音符パターン3
どんどん見ていきましょう。
これは3拍目に入るときにシンコペーションするパターンです。
7小節目は2拍ずつコードが変わっているのでシンコペーションはしていません。
これにメロディー・ベース・ドラムを入れたものがこちら。
シンンコペーションによって音が一つ減ってるだけですが、8分音符を休みなく弾くよりはすっきりした印象になりますね。
8分音符パターン4
次のパターンはアルペジオではないのですが、4分打ちでも8分打ちでもないのでここに入れてみました。
右手はコードを2声と1声に分けて交互に弾いています。
左手はオクターブにしてみました。
ピアノではよく使われるパターンです。
ではオケを入れてみます。
8分打ちよりはすっきりしていながらも、アルペジオよりリズムがはっきり出て使いやすいパターンだと思います。
16分音符を使うパターン
それでは次は16分音符のアルペジオをいくつか紹介しましょう。
メロディーはさきほどのアルペジオと同じですがテンポと音色を変えてみました。
こんな感じでやってみます。
16分音符パターン1
まずはこんなパターンです。
1、2拍目と3、4拍目は全く同じことをやっています。
16分音符でシンコペーションするパターンです。
左手はオクターブでルートだけを弾いています。
これにオケを入れてみます。
これはギターでもよくあるパターンです。
ギターで弾いた場合はスリーフィンガー奏法などと言われるものです。
16分のシンコペーションを正確なリズムで弾くことが重要になってきます。
16分音符パターン2
さて次です。
これはちょっと普通のバッキングとは違う効果を狙ったものです。
右手はかなり高い音域で16音符をずっと弾いています。
左手は譜面に注意してほしいのですが、ト音記号になってます。
普通の左手より高いところでコードを弾きました。
転回して弾いていますがベースが入るとこれでも大丈夫です。
オケを入れたものがこちら。
これはちょっと特殊効果を狙ったものなので1曲中ずっとやるのではなく部分的に少しだけ使うほうがよいでしょう。
16分音符パターン3
次です。
これは1、2拍目は8分音符で3、4拍目は16分音符で弾くパターンです。
左手は4分音符で【ルート-5th-3rd-5th】というパターンを弾いています。
オケを入れてみます。
8分と16分が混じると少し複雑に聞こえていい感じですね。
16分音符パターン4
それでは16分の最後にもっと複雑なパターンを紹介します。
右手はアドリブなのでかなりランダムに動いています。
コードに対して【9th】の音もところどころ入れてあります。
1小節目の「シ」の音、2小節目の「ミ」の音などがそうですね。
左手は【ルート-5th-オクターブ上のルート-5th】というパターンです。
オケを入れてみます。
けっこう忙しく動く感じなので、1曲中ずっとこんなパターンで弾くのはあまりよくないかもしれませんね。
しかし一部分に使うなら変化がついておもしろいのではないでしょうか。
3連系のリズムパターン
それでは次は3連系のリズムの場合をみてみましょう。
当然メロディーのリズムも3連系に変わってきます。
このようになります。
アルペジオのリズムも3連系のものにしなければいけません。
3連系パターン1
一つめを見てみましょう。
これは8分音符のふたつめに紹介したアルペジオを3連系にしたものです。
左手はルートを単音で弾いています。
これにメロディーとオケを加えてみます。
3連符を全部弾くのではなく、3連符の1つめと3つめの音だけを弾いています。
このリズムは一般的には「3連でハネる」などと言ったりします。
シンプルで使いやすいアルペジオだと思います。
3連系パターン2
次にこれをみてください。
これも左手は先ほどのものと同じです。
右手も同じくハネて弾いていますが、2拍目と4拍目のあたまを2声の和音にしました。
メロディーを入れてみましょう。
どうでしょうか。
こうすることによってアクセントが生まれ、リズムの推進力が増したように感じますね。
3連系パターン3
では次のパターンです。
これも左手は同じです。
右手はシンコペーションを使い4拍目は4分音符にしてみました。
メロディーを入れてみます。
右手の音数が少し減ったぶんスッキリ聞こえますね。
オケはピアノのシンコペーションに合わせ、ドラムもベースも3拍目にかけて8分音符でシンコペーションしてみました。
全部の楽器が全てシンコペーションに合わせる必要はないのですが、「ピアノ・ベース・ドラム」が合わせるだけでかなり強調されて聞こえますね。
ギターなども合わせればもっと強調されます。
3連系パターン4
では最後です。
次は3連符を全て右手で弾くパターンです。
左手は単音でルートを弾いています。
メロディーを入れてみましょう。
これも非常によく聴くパターンですね。
今までの例の中では3連のリズムが1番強調されているように感じます。
ずっと3連符を弾き続けているので、テンポが速いとちょっと忙しく聞こえてしまうかもしれません。
まとめ
今回はいろんなアルペジオを紹介しました。
8分音符にするのか、16分音符にするのか、または両方ミックスしたものにするのか・・・
これは曲調、メロディー、他の楽器のアレンジなどによって変わってきます。
しかしどれを選んだとしても間違いということはありません。
自分が1番しっくりしたものを自信をもって選んでください。
(もちろんアレンジャーが別にいて指示される現場では当然指示されたものが正解ということになります。 )
音型の上行や下行なども考慮すると無限にパターンは作れると思いますのでいろいろ試してみてくださいね!
以下の動画では今回の内容を解説しています。