曲の最後にピアノが一人で「ちゃらららん」とか「ぽろろん」とか「ジャラーン」とかアルペジオのようなものを弾いてるのを耳にしませんか?
こんな感じのものです。
今回はこのようなものを初心者でもすぐそれっぽく弾けるように解説していきたいと思います。
カデンツ?カデンツァ?
先ほどのような音はポップスなどでは【カデンツ】とか【カデンツァ】などと呼ばれています。
現場では「最後はピアノでカデンツァお願いします!」などと言われたりします。
クラシックでは【カデンツ】というのは和音進行を意味することが多く、【カデンツァ】というと自由な即興演奏を指す場合が多いようです。
以下では統一して【カデンツァ】とします。
使用するコード進行はこれ
今回もキーは「C(ハ長調)」で進めていきたいと思います。
カデンツァは曲の最後に使うことがほとんどです。
ハ長調の最後のコードは「C」とか「C△7」、「C△9」になることがほとんどなので、今回は「コードがCのときのカデンツァ」を紹介します。
そこだけ弾いても伝わりにくいと思うので、こんなコード進行にして最後のCのコードのときにカデンツァを弾いてみます。
最後はritしよう
以下の例では最後の小節に【rit】と書いてありますが、これは「リタルダンド」の略でだんだんテンポを落としていくという意味です。
最初の小節の【Dm7-G7】は一定のテンポで弾いて「C」に入ったところでいきなり遅くしてみてください。
どのぐらい遅くするかは自由です。
音が上がっていくパターン
それではさっそくいろんな例を紹介していきましょう。
1.シンプル
まずはもっともシンプルなものです。
※カデンツァはこのように拍子に合わない数の音符を便宜上1小節の中に書くことが多いです。
これは三和音のみのアルペジオです。
もったいつけてたっぷりの間で弾いてみてください。
このときサスティンペダルは必ず踏みっぱなしにしてくださいね。
これだけでも悪くはないですがちょっとシンプルすぎると思う方はこれはどうでしょう。
2.「Cadd9」を使う
これはコードでいうと「Cadd9」です。
Cの三和音に【9th】の「レ」の音を加えたものです。
けっこうおしゃれになりましたね。
3.【3rd】で終わる
さっきは【Root】の音で終わりましたが、構成音のどの音で終わっても大丈夫です。
【3rd】で終わるとこんな感じです。
4.【9th】で終わる
【9th】だとこうなります。
「ド-レ」といくより「ソ-レ」といったほうがおしゃれな気がしたのでこうしてみました。
別になんの決まりもありませんから自由にやってみてください。
5.「C△7」を使う
つぎは「C△7」を使ってみましょう。
おしゃれですね。
カデンツァの途中で【Root】を弾くのをやめて【3rd】【5th】【7th】の音だけを順番に弾いています。
もちろん【Root】を入れてもかまいません。
今回はなんとなく弾かないほうがいいような気がしたので抜いてみたというだけです。
カデンツァは一人で自由に弾けばよいので、そんなに深く考えず「なんとなく」で全然大丈夫です。
これもどの音で終わってもいいのですが【Major7th】の「シ」の音で終わるのがよさそうですね。
6.コードを弾かずに単音でカデンツァ
ところでこれまではカデンツァにいくまえに必ず一旦「Cのコード」を弾いていました。
しかしコードを弾かずにいきなり単音でカデンツァを弾く場合もあります。
こんな感じになります。
コードを弾くか弾かないかは単に好みの問題なのでどちらでもかまいせん。
そのときに合うと思うものを自由に選んでください。
7.「C△9」を使う
それでは次は「C△9」にしてみましょう。
「Cadd9」と違うのは【Major7th】の音が入ってることです。
よりおしゃれに聞こえますね。
基本的にカデンツァというのは一人で弾くので、たとえば曲の最後のコードが「C△7」と書いてあっても勝手に【9th】などを入れてもかまいません。
一人なら他の楽器と音がぶつかることはないので、自由にいろんな音を加えても大丈夫なのです。
8.【#11th】を入れる
というわけでもっと足してしまいましょう。
次は【#11th】を入れてみます。
これは「#ファ」になるのでハ長調には存在しない音になるのですが、カデンツァにはよく使います。
さらにおしゃれに聞こえますね。
9.【13th】を入れる
もっと足してみましょう。
次は【13th】です。
【9th】も【#11th】も入れたままです。
これもおしゃれですね。
ここまでくるとただの「C」というコードとはかなりかけ離れていますので、好みが分かれるかもしれませんね。
10.【9th】【#11th】【13th】だけを積む
さて余談になりますが「C」における【9th】【#11th】【13th】だけを積むとどうなるでしょう。
これは「D」の三和音になっています。
「D」は「C」の全音上のコードになります。
このように覚えると簡単ですね。
最後のコードが「C」のときは上に「D」を、
ヘ長調で最後のコードが「F」なら全音上の「G」を足せばいいということになります。
こういうことですね。
「C△7」の構成音を順番に弾いたあと「D」の構成音を順番に弾くと思えば簡単ですね。
いろいろなバリエーション
これまでは「順番に音が上がっていく形」だけを紹介しましたが、他にもいろいろなバリエーションがあります。
いくつか紹介していきましょう。
すべて譜面のあたまに「Rubato」と書いてありますが、これは一定のテンポではなく自由にテンポを揺らしながら弾くということです。
譜面は便宜上8分音符や16分音符で書いてありますが、音価はまったく気にしなくて大丈夫です。
1.ジグザグで上がる
これは「C△9」のカデンツァです。
最初は普通に上がっていき、途中からジグザグしながらも上がっていきます。
最後はコードで終わっています。
2.ジグザグで上がって駆け下りる
これも先ほどのものと同じように「C△9」の構成音でジグザグと上がっていき、最後は【#11th】と【13th】を含んだコードを駆け下りるように弾いています。
ちなみに今まで譜面に「8va(オッターヴァ)」という記号がありましたがこれは譜面より1オクターブ上げて弾くという意味です。
これはよく見かけますよね。
しかし「15ma(クィンディチェジマ)」というのはあまり見かけないと思います。
これは譜面より2オクターブ上げて弾くという記号です。
たまに「16va」なんていうのを見かけますがそれは間違いですので気をつけましょう!
3.途中からオクターブ
これも【9th】【#11th】【13th】を含むコードトーンを途中からオクターブで弾いています。
オクターブを同時に弾くとちょっと元気な感じになりますが、このように少しずらして弾くとちょっとさびしげな感じになっていいですよね。
4.速く駆け上がる
これは【9th】と【#11th】を含めたコードトーンを速く弾いてみました。
一聴すると難しそうですが、ちょっとしたコツを覚えれば楽に弾けます。
符尾が下向きの音符を左手で、その他を右手で弾いてみてください。
片手で弾くよりずいぶん楽に、そしてかなり速く弾けると思います。
5.高い音から下がってくる
これは高い音から下がってくるパターンです。
構成音は「C△9」に【#11th】と【13th】が含まれたものになっています。
下がってくると落ち着いた終わり方に聞こえますね。
まとめ
さて、今回はエンディングで活用できるピアノのカデンツァを紹介しました。
いろんなパターンがありましたが、どれもコードの構成音しか弾いていません。
構成音だけを弾いてさえいれば、音が外れることはなく上がるも下がるも自由なので、いろんなパターンをぜひ自分で考えてみてください。
あっさり終わるのもそれはそれでいいですが、カデンツァを足してより豪華に、またはよりさびしげに終わるのもおすすめです!
次回のエンディングパターン例
誰もが一度は聴いたことあるのではないでしょうか。
次回はこのように「よく聴くエンディングパターン」をいろいろ紹介してみたいと思います!
↓今回の解説を動画にしていますので合わせて見てみてください!↓
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