今回は、曲のエンディングに少しコードを付け足しておしゃれに終わる方法を紹介していきたいと思います。
いつものように「キーはC(ハ長調)」で解説しますが、今回はいくつか黒鍵を含むコードが入ってしまいます。
その都度説明していきますのでついでに覚えてしまうといいと思います。
- 最後のコードは「C」・メロディーは「ド」で終わるサンプル
- 1:sus4を使う
- 2:sus4を使う(マイナーキー)
- 3:Fを使う
- 4:Fmを使う
- 5: F-Fmを使う
- 6:D♭△7を使う
- 7:A♭△7-D♭△7を使う
- 8:A♭-B♭を使う
- 9:半音進行を使う
- 10:メロディーを繰り返すパターン
- まとめ
最後のコードは「C」・メロディーは「ド」で終わるサンプル
キーがCの曲では最後のコードは「C」または「C△7」や「C△9」で終わることがほとんどです。
メロディーもトニックの「ド」の音で終わるものが一般的でしょう。
今回もいろんなサンプル曲を用意しましたが、どれもコードは「C」、メロディーは「ド」の音で終わるものにしてあります。
そしてそのメロディーを変えることなく新たなコードを加えていこうと思います。
今回のサンプルはオリジナルではなくみなさんがよく知っている曲ばかりを集めてみました。
ではさっそく紹介していきましょう。
1:sus4を使う
コードが「C」で終わるところを【Csus4-C】というコード進行にしてみました。
このコード進行には「ファ」から「ミ」という動きが生まれます。
ではサンプルを聴いてみましょう。
「Csus4」にはメロディーの「ド」が構成音として入っているので何の違和感もありません。
ただふつうに「C」で終わるのとはまた違った感じでおもしろいと思います。
2:sus4を使う(マイナーキー)
これはマイナーキーのときも使えます。
これを見てください。
「キーはAm」なので当然最後は「Am」で終わるところを、いったん「Asus4」にいってその後「A」というメジャーコードで終わってみました。
このようにマイナーキーであるのにメジャーコードで終わることを
クラシックの世界では「ピカルディの三度」または「ピカルディ終止」などといわれます。
聴いてる人は当然マイナーコードが来ると思っているところに、突然メジャーコードが来るというのはちょっと意表をついて面白いですね。
3:Fを使う
それでは次です。
譜面だけ見ると別になにも変わったことはなさそうですが、5小節目の「F」は本来は「C」を弾くべきところです。
ここでは「C7」と「A7」という「キーがCのダイアトニックコード」とはちがうコードが出てきました。
ついでに説明しておきましょう。
構成音はこうです。
「△7コード」の7度の音を半音下げたものが「7thコード」になります。
サンプル曲では譜面を見てもらうとわかるように、【左手でルート】【右手は転回してさらにルートを省いて】あります。
それではサンプルを聴いてみましょう。
メロディーの最後の音と同時に「C」が来るかと思いきや「F」で一瞬はぐらかされたあと「C」が来て終わるといった感じです。
これもメロディーの「ド」の音が「F」の構成音に含まれているためごく自然に聞こえますね。
ピアノの弾き方としてはコード弾きとアルペジオを混合した形です。
4:Fmを使う
では次です。
1小節めは「C」のままでもいいのですが、3拍目を「C7」にしたことで2小節目の「F」にきれいにつながっています。
構成音の【ド-♭シ-ラ】という動きがいいですね。
そして4小節めのコードですが本来「C」で終わるところを「Fm」にしてみました。
「キーがC」においての「Fm」は「サブドミナントマイナー」と呼ばれます。
「Fm」の構成音は「F」の【3度】の音が半音下がったものです。
メジャーコードの【3度】の音を半音下げればマイナーコードになります。
「C」の「ド・ミ・ソ」というコードを「ド・♭ミ・ソ」にすれば「Cm」になるということです。
そして先ほどの「Fm」のときに使うスケールはこれです。
これは「ドリアンスケール」と呼ばれるものですが説明すると難しくなりますので今は参考程度に聞いていてもらえば大丈夫です。
ではそれらをふまえた上で聴いてみましょう。
ピアノは3小節目まではコードをきざんで、4小節目は先ほどの「Fドリアンスケール」を下から駆け上がっただけです。
最後のコードは【7th】を含まず【9th】だけを含む「add9」にしてみました。
「G7」から「C」に解決せず、
いったん「Fm」を通ってから「C」に解決するというのはなかなかおしゃれに聞こえますね。
5: F-Fmを使う
では次は先ほどの二つを合わせたものを紹介しましょう。
本来は8小節目で「C」に解決するところをあえて「F」にして、そのあと「Fm」にいってから「C△9」に解決しています。
では聞いてみましょう。
3連系の3拍子です。
ジャズワルツなどとも呼ばれます。
2小節目からの【C-C△7-C7】という進行はトップノートが【ド-シ-♭シ】と綺麗に半音で下りてきていておしゃれです。
最後の「F」と「Fm」の小節は、コードの構成音3つだけをアルペジオで順番に上がってまた下がってきただけです。
最後のコードは「C△9」にしてちょっとしたフィルを入れてみました。
6:D♭△7を使う
次はちょっと変わったコードを足してみましょう。
譜面を見てください。
5小節めに「D♭△7」というコードがあります。
このようなコードになります。
これは解決すべき「C」というコードの半音上の「メジャー7thコード」です。
この半音上の「△7」から解決する進行は非常によく使われます。
「F」で終わりたいなら「F#△7」、「E♭」で終わりたいなら「E△7」を前に付け足せばいいわけです。
これなら簡単に見つけられそうですね。
そしてもう一つのポイントは「D♭△7」の「Major7th」の音が「ド」ということです。
コードは転調をしているのですが、メロディーの「ド」の音が含まれているため綺麗に響くのです。
ではサンプルを聞いてみましょう。
ピアノはアルペジオにしてみました。
そして終わり方ですが、聞いている人は当然「C」に解決すると思ったところに「D♭△7」が来るのでこれもかなり意表を突いていて面白いと思います。
このサンプル曲では「D♭△7」の構成音をアルペジオで弾いていますが、コード弾きにしてみてもいいですしいろんな弾き方を工夫してみてください。
7:A♭△7-D♭△7を使う
それでは次を見てみましょう。
これは先ほど使った「D♭△7」の前にさらに「A♭△7」を置いてみました。
「A♭△7」から「D♭△7」への動きは「完全4度上(もしくは完全5度下)」への進行であり、一般的に「強進行」と呼ばれています。
これは二つのコードが強い結びつきをもち、心地よく自然なコード進行です。
たとえば「キーがC」でいうと【Dm-G】【G-C】【Em-Am】などが強進行です。
ちなみにサンプル曲では「A♭△7」「D♭△7」ではほとんど構成音しか弾いていませんが、もしフレーズを弾くならこのようなスケールになります。
余談になりますがこれは「リディアンスケール」というものです。
メジャースケールとは4番目の音が違ってきますので注意してください。
ではさっそくサンプルを聞いてみましょう。
これも聞く人の意表をついておもしろいですね。
かなりおしゃれな感じに聞こえますね。
これもかなり転調した感じはありますが、「A♭△7」にもちゃんとメロディーの「ド」の音が含まれているためおかしくは聞こえないと思います。
8:A♭-B♭を使う
では次です。
これは先ほどと同じで「C」に解決すべきところで「A♭」にいきますが、今回は「△7」ではなく三和音になっています。
その三和音が【A♭-B♭-C】と全音の間隔で上がっていきます。
この動きはよく聞くと思います。
ビートルズなどもよく使っていますね。
ではサンプルを聞いてみます。
「△7コード」のおしゃれでちょっと浮遊感のある感じとはとまたは違って、三和音は力強い響きがするような気がしますね。
4小節目まではコード弾きをし、5小節目からアルペジオにしてみました。
最後のCの小節のフィルでは「C△9(#11,13th)」のような響きにしてあります。
9:半音進行を使う
次はちょっと多めにコードを足してみましょう。
まず「G7」が2小節あります。
そして次に「C」にいきたいところを「F#m7(♭5)」にいき、
そのまま【ルート】がずっと半音ずつ「C」まで下がっていきます。
ではサンプルを聴いてみましょう。
かなりジャズっぽい感じになりました。
本来終わりのコードから3小節も余分に付け足したのでちょっと長くなってしまいますが、速めのテンポならそれほど長く感じることもなくかっこいいと思います。
10:メロディーを繰り返すパターン
では次はちょっと今までとは違うパターンを紹介しましょう。
まずこれを聞いてみてください。
【F△7-G7-C6】とごくふつうに終わっています。
これを「最後の2小節を繰り返す」ことによってちょっとエンディングをのばしてみたいと思います。
ただ単に2小節を繰り返してもおかしくはないのですがここではちょっと一工夫してみます。
パターン1:C7を使って繰り返し
これを見てください。
さっき「C6」だった4小節めを【C-C△7-C7】という動きをつけました。
トップノートが【ド-シ-♭シ】と半音できれいにつながっています。
そして「C7」というコードは「F△7」への解決感を強めてくれます。
「C」や「C△7」から「F△7」に解決するより
「C7」から「F△7」に解決するほうが力強く進行しているのがわかると思います。
それでは実際にサンプルを聴いてみましょう。
自然に繰り返せていると思います。
このように最後を繰り返して終わるパターンはよくあるので覚えておくと役立ちます。
パターン2:Amの半音進行を使って繰り返し
それではもう一つ違うパターンで繰り返してみましょう。
これは「C」にいって終わるところをまず「Am」に進行し、
そのまま【ルート】も【トップノート】も同じ音で半音ずつ下がって「F△7」に解決しています。
分数コードの形になっていますが、これは分母の音をベース(ようするに左手の低いほうの音)で弾けばOKです。
ここでは左手で2音弾いていますが分母の音だけを単音で弾いても大丈夫です。
「m△7」という見慣れないコードネームが出てきたので少し説明しておきましょう。
わかりやすいように「C」をルートにしてみます。
これを見てわかるようにルートがCのときの「△7」の音は「シのナチュラル」です。
これは「C△7」でも「Cm△7」でも変わりません。
「7」の音は「♭シ」、「6」の音は「ラ」の音で、これもマイナーコードでもメジャーコードでも同じなのです。
そしてメジャーコードかマイナーコードの違いは「ミ」なのか「♭ミ」なのかということです。
コードネームを見てまず「C」と書いてあれば「ド、ミ、ソ」、そして「Cm」なら「ド、♭ミ、ソ」と弾き、そのあと「7」なのか「△7」なのか「6」なのかを考えてそれぞれ足せばいいということです。
ではさっそくサンプルを聴いてみましょう。
「C」に解決すると思ったところに「Am」がくるのもなかなか面白いですね。
もちろんメロディーの「ド」の音は「Am」にも含まれているのできれいに響きます。
「Am△7」や「Am6」など使わずに1小節ずっと「Am」だけでもいいのですが、今回は半音進行を使いたかったのでこうしてみました。
エンディングに限らず一つのコードが長く続くときにもこのような変化をつけるとかっこよくなりますよ。
まとめ
さて今回はメロディーを変えずに「コードを加えてエンディングをおしゃれに延ばす方法」を紹介しました。
もちろん素直にCでさっと終わるのもいいのですが、こうやって他のコードを使って延ばす方法を知っていると選択肢が増えていいと思います。
ぜひカバー曲やオリジナル曲に取り入れてみてください。
今回はメロディーの終わりを延ばしましたが、アウトロ(後奏)を延ばすときも全く同じ方法で大丈夫です!
メロディーはさっと終わり、アウトロで意表を突いて終わるのもかっこいいと思います。
動画にもまとめてあります↓