「ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ」今回は「ブルースフレーズ」の【Part1】です。
はじめに
今回はこのようなフレーズです。
ブルースなどでよく聴かれるフレーズです。
これはピアノ譜になっているので両手で弾いてみてください。
フレーズの分析
ではフレーズを細かく見ていきましょう。
コードは「C7」になっています。
「C7」といえばふつうは「Key=F」の「Ⅴ」である「ドミナント7thコード」です。
しかしブルースは少し特殊な音楽で、トニックもサブドミナントも「7thコード」にすることがほとんどです。
今回はブルースについての細かい説明は省きますが、この「C7」は「Key=C」の「トニック」、または「Key=G」の「サブドミナント」、または「Key=F」の「ドミナント」に使えます。
ということは今回のこのフレーズも同じように「Key=C」のブルースの「トニック」、または「Key=G」のブルースの「サブドミナント」、または「Key=F」のブルースの「ドミナント」のときの「C7」に使えるということです。
では音をひとつずつ見ていきます。
これを見ていただくとわかるように1拍目は「C7」、2拍目は「F」、3・4拍目でまた「C7」の構成音を弾いていることがわかります。
音だけを見ればこのようなスケールになっています。
これは「Cミクソリディアン」です。
しかし「ミクソリディアン」というのはあくまでも「Ⅴ」の「ドミナント」に使うモードです。
しかしこの「C7」の場合、「Key=C」のブルースにおいての「Ⅰ」である可能性もあります。
そのようなときは「ミクソリディアン」とはいいません。
「Cメジャースケール」に【7th】の「♭シ」の音、ようするにブルーノートが加わったと考える方がよいでしょう。
ではこのフレーズの見つけ方です。
「C7」で使うならまず「C7」のコードをルートから弾きます。
そして【3rd】を抜いてそれを「ソ♭シ」と「ド」に分けバラバラに弾きます。
そして「ソ♭シ」を順番に「ファラ」「ミソ」と下がってくるだけです。
その間にルートである「ド」の音を入れましょう。
そして最後は「メジャー7th」ではなく【7th】の音からルートというフレーズです。
最後にちょっとした味をつけるため装飾音を入れましょう。
3拍目の「ミ」の前に「♭ミ」を装飾音として付加します。
この「♭ミ」は「C」にたいする【♭3rd】のブルーノートです。
ブルーノートの記事はこちら↓
これを弾くコツとしては譜面通りに「♭ミ」を弾いたあとに「ミソ」と弾くのではなくまず「♭ミソ」と弾いたあとに「ソ」は延ばしたまま「♭ミ」から「ミ」に弾き直します。
このほうが弾きやすいですしサウンドもいいと思います。
他のキーで見てみよう
では他のキーでも見てみましょう。
同じコードでもブルースではそれが「Ⅰ」の場合、「Ⅳ」の場合、「Ⅴ」の場合があるのであえて調号は書かず臨時記号で見てみたいと思います。
ではこれを見てください。
これは「F7」のフレーズです。
最初に「F7」をルートから弾けば簡単です。
3拍目の「ラ」の音にその半音下である「♭ラ」の装飾音がつきます。
そして最後はルートの「ファ」に向けて全音下の「♭ミ」からアプローチします。
これは「D7」で使うフレーズです。
同じようにまず「D7」の構成音を思い浮かべそれをバラバラに弾くところから始めましょう。
装飾音は「D7」におけるブルーノート、【♭3rd】の「♮ファ」です。
これは「B♭7」のフレーズです。
これもルートから「B♭7」を弾きトップノートである【7th】の「♭ラ」の音から順番に下がってきます。
装飾音は【♭3rd】である「♭レ」、そして最後は【7th】の「♭ラ」からルートに解決します。
覚えるための練習法
ひとつずつ順番に覚えるのもいいのですがせっかくなのでこんな練習法をやってみてください。
これを時計回りに全部「7thコード」のまま進んでいきます。
これで12個全ての「7thコード」で今回のフレーズがマスターできるはずです。
※ 「カラオケ音源」と「MIDIデータ」を貼っておきますのでご自由にダウンロードしてお使いください。
カラオケ音源↓
左手は【Root-3rd-7th】を押さえ4分打ちしています。
これは別に【Root-5th】でもかまいませんし、オクターブで【Root】だけ弾いてもかまいません。
バリエーション
今回のフレーズを少し変えるだけでいろんなバリエーションが得られます。
このように下がるのではなく上がってみるのもいいでしょう。
使っている音は今回紹介したフレーズと全く同じです。
これは間に単音でルートを挟まず、2音のまま上がっています。
これも使っている音は全く同じです。
このように全く同じ音でもいろんなバリエーションを考えることができるので、ぜひいろいろ試してみてください。
さいごに
というわけで今回はブルースなどでよく使われるフレーズを紹介してみました。
今回はピアノのフレーズでしたが、トップノートだけを弾くなど工夫すればいろんな楽器で使えると思います。
ブルースのバッキングやアドリブでは非常によく使われるフレーズなので「パクった」などと言われることはありません。
覚えておくと便利なので、いろんなところで使ってみてください。
ブルースに限らずポップスなどに使ってみるのも面白いと思います。
今回の解説動画はこちら↓