わちゃぴの音楽教室

初心者向けの作曲方法を紹介しています♪

編曲 #26【おしゃれに装飾】短前打音【シンプルなフレーズを華やかに彩る♪】

装飾音はいろんな楽器で使われます。

文字通りフレーズを装飾するための音符です。

装飾音にもいろいろあるのですが、今回はその中でもポップスやロック、ジャズなどで特によく使われる「短前打音」について解説したいと思います。

 

 

はじめに

「短前打音」とはたとえばこのようなものです。

 

斜線の入った小さい音符で記譜します。

いきなり話はそれますが、「短前打音」があるということは「長前打音」というものも存在します。

 

このように斜線が入ってない小さい音符が「長前打音」です。

これは下段のように演奏します。

 

 

「長前打音」が付いた音符(この例だと「ミ」です)の半分の音価の音符を付け足して演奏するのです。

これはバロック音楽などによく使われたもので、ポップスなどでは出てくることはまずないでしょう。

最初から下段のように記譜すればいいわけですから、知識としてこんなものあるといった程度でいいと思います。

 

それでは「短前打音」に話を戻しましょう。

これを演奏する場合、細かく言うと2種類のタイミングが考えられます。

たとえばこのような譜面があったとします。

 

これを実際に弾くときはまずこのようなもの。

 

装飾音が拍のアタマになるように弾きます。

 

もう1つは装飾音が拍の前に来て、本来の音符が拍のアタマにくるものです。

 

クラシックなどでは細かく決められていますが、ロックやポップス、ジャズなどでは「演奏者におまかせ」というものがほとんどです。

曲やフレーズに合うと思ったほうで演奏すればOKです。

装飾音符の長さも演奏者が自由に決めましょう。

 

これは短めにしてみた例です。

では少し長めにしてみましょう。

 

これはもう好みなので、どちらでも大丈夫です。

テンポなどによってもかなり変わってくると思います。

 

ブルースなどによく使われる和音への短前打音

ブルースなどでよく使われるフレーズにこのようなものがあります。

市販の譜面なども、このような記譜で書かれることがほとんどだと思います。

このような記譜だとこう弾いてしまいそうです。

 

「#レ」を先に弾いてあとで「ミ-ソ」の和音を弾く、という方法です。

しかし実際にはこのように弾くことが多いです。

 

先に「#レ-ソ」という和音を同時に弾いてから「#レ」が「ミ」に動きます。

その間も上の「ソ」は押さえっぱなしにします。

このように弾いたほうがブルースっぽくなるのでおすすめです。

 

代表的な短前打音

よく使われる代表的な「短前打音」です。

 

 

半音上下から、全音上下から、そして半音2つ使って上下からの6つをあげてみました。

装飾音を2つ使うものは特に「複前打音」と呼ばれますが、わりとよく使われるので一緒に紹介します。

「複前打音」の音符には斜線がつかないことが多いです。

「複前打音」にも全音を使うことはあるのですが、半音のほうがよく使われるので、今回は半音2つ使うものだけにします。

 

同じフレーズに半音と全音の装飾音をつけてみましょう。

キーは「C」で、コードもトニックの「C」です。

 

半音だとちょうど【♭3rd】【♭5th】というブルーノートになるので、すこしブルージーな感じに聞こえます。

全音だとどちらもダイアトニックな音なので、自然で素直に聞こえる気がします。

「Jazzyな感じなら半音」「FolkやPopな感じには全音」といった感じに使い分けるのもいいかもしれません。

 

全音の短前打音における注意

半音はどの音につけてもかまわないのですが、全音は少し気をつけなければいけないことがあります。

 

Cメジャースケールの音に全音上下からの装飾音をつけてみました。

ところどころ黒鍵、ようするにCメジャースケール以外の音が入っているのがわかると思います。

これはやはりちょっと外れて聞こえてしまいます。

比べてみましょう。

 

【上段】

【下段】

かなり大げさにつけてみました。

上段は、すべてダイアトニックではない装飾音です。

下段は、ダイアトニックになるように半音に変えたものです。

やはり上段は、ちょっとおかしな感じに聞こえるのではないでしょうか。

よほど意図がないかぎりやめておいたほうが無難でしょう。

 

実際に使ってみる

では1つのフレーズにいろいろな装飾音をつけてみましょう。

 

このような簡単なフレーズです。

 

2小節め最後の「ミ」の音には全音下からの装飾音がついていますが、その他の装飾音は半音上下からになっています。

 

「ファ」と「ド」には全音上の、他は半音上下の装飾音をつけました。

 

これは、「E7」の「レ」と「Am」の「ミ」には半音2つの「複前打音」を使ってみました。

 

装飾音の付けかただけでかなりのバリエーションが得られるのがわかったと思います。

 

オルガンでの使用例

ここまではピアノでやってきましたが、オルガンなどにもよく使われます。

このようなフレーズでやってみましょう。

 

これだと少し味気ない気がします。

 

このように装飾音をつけることにより、いかにもオルガンらしいフレーズになったのではないでしょうか。

 

スパニッシュなフレーズ

フラメンコギターなどのスパニッシュなフレーズには、上からの「短前打音」がよく使われます。

 

これに装飾音をつけてみましょう。

 

 

かなりそれっぽい感じに聞こえます。

もちろん上からだけではなく、下からの「短前打音」も「複前打音」も使われます。

 

たとえばこんな感じに、スパニッシュなフレーズを上から引っかけて弾くと、チックコリアっぽくなったりもします。

 

さいごに

装飾音の中でもとくに「短前打音」と「複前打音」について解説してきました。

ちょっとした一工夫で、フレーズがおしゃれになったり華やかになったりします。

今回はサンプルということでかなり大げさに使ってきましたが、ここぞというときに使うとかなり効果的です。

楽器は問わないので、ぜひいろんなフレーズで試してみてください。

 

今回の解説動画はこちら↓